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今月をもってこのコーナーは一旦終了
ラストはロングインタビューです!
4月24日から全国公開される『劇場版TRIGUN(トライガン)-Badlands Rumble-』。
『TRIGUN』のTVシリーズが放映されたのは1998年の4月から9月。実に12年ぶりの新作アニメとして、ファンのもとに還ってくることになる。

▲今堀恒雄
劇場版の音楽を担当しているのは、TVシリーズと同じ今堀恒雄。
『TRIGUN』で初めてアニメサントラを制作した彼は、のちに『はじめの一歩』『ガングレイヴ』といった作品を担当。さらに菅野よう子の楽曲にギタリストとして参加するなど、アニメの世界でも精力的に活動してきた。
そして今回の、10年以上の時を経ての『TRIGUN』とのコラボ。彼はどのようにして、ヴァッシュ・ザ・スタンピードが疾走する、あの世界に戻ってきたのだろうか?
ロバート・ロドリゲス的なメキシカン・ガンアクションと、星の歴史を巡るSFを融合させた『TRIGUN』。だが、今回の劇場版はSF的な要素は物語の背景に後退させ、単純明快なエンターテイメント作品となっている。
物語のカギを握るのは希代の大強盗ガスバックと、女ガンマンのアメリア。この二人のドラマに、ヴァッシュやウルフウッド、さらにメリル&ミリィといったおなじみの面々が関わり、物語は賑やかに進行していく。
サントラ制作は、まず西村聡監督との打ち合わせから始まり、音響監督の本田保則が書き起こした楽曲メニューと絵コンテをもとに、進められていった。
「本田さんとは何度も一緒に仕事をしているのですが、メニューが独特なんです。今回も『筋金入りの自称・正当強盗(タタキ) コソ泥は道に反する』とか『金髪の女ガンマン、さっそうと男達を釘づけ』とか、変わったお題をいろいろいただきました。あれをもとに曲を作っていくのが楽しいんです(笑)」
「ヴァッシュ、ガスバック、アメリアなど、メインキャラクターそれぞれのテーマとなるメロディをまずは考えていきました。ヴァッシュはTVシリーズのOP『H.T』のフレーズをもとにしたロック、ガスバックは重量感と哀愁のある西部劇風のギター、そしてアメリアは優しいメロディがベースになっています」
クールな女ガンマンのアメリアだが、物語が進むにつれ、彼女の切ない過去が明らかになっていく。そのセンチメンタルな雰囲気が、今堀には強く印象に残ったという。
さらに、荒くれ者のガンマンたちには軽快だったり猥雑だったりするラテン風のサウンドが、巨大な電球形のプラントと呼ばれる動力源が高台に鎮座する街には、SF風のインダストリアルな楽曲がつけられていった。
「でも、SFに似合うサイバーチックな曲はかなり少なく、生楽器中心になりました。アクション映画なのに意外と泣きメロが多く、人間臭いサントラになったと思います。また、架空の惑星が舞台ということで、あらゆる国や地方の音楽がごちゃ混ぜになっているのも特徴です。物語の舞台が限定されるとそこに合う音楽を厳密に考える必要がありますが、今回はシーンの匂いに合っていたら、どこの国の音楽でも気にすることなく突っ込んでいこうと思いました」
その言葉通り、レコーディングにはさまざまな国の民族楽器が集められた。カヴァコ(ブラジルの弦楽器)、チャランゴ(アンデス地方の弦楽器)、ウード(アラブの弦楽器)、マンドリン(アイリッシュやアメリカの伝統音楽などで使われる弦楽器)、サンポーニャ(アンデス地方の笛)、ケーナ(ボリビアの笛)などなど。
「ベース以外の弦楽器は、弾いたことのないものも含めて全部、自分で弾きました。たとえばウードは初めて触ったんですが、敷居が高い楽器で苦労しました。サンポーニャやケーナといった笛は岡田浩安さんの演奏ですが、自分のレコーディングでお願いするのは初めてだったので楽しかったですね。さらには、パーカッションのヤヒロトモヒロさんがスタジオに持ってきた数々の打楽器です。動物の頭蓋骨がそのまま楽器になってるような、専門外の僕らには「なんだ、これは?」というものもあって(笑)」
もちろん今堀本来のギタリストとしての魅力も、このサントラにはたっぷり入っている。ヴァッシュの楽曲の歪んだエレキギター、ガスバックの楽曲の哀愁あるアコースティックギター、ロックンロールしている酒場のテーマなどなど、さまざまなギターサウンドが楽しめる。
「ギター曲はあまり頭で考えないで、作り込まずに、楽器を抱えてせーの、という感じで録りました。あの砂漠の惑星の空気の熱や埃っぽさ、キャラクターの感情を楽曲に含ませることを第一に考えました」
そして、『TRIGUN-Badlands Rumble-』全体の空気感をもっとも象徴しているのがエンドクレジットで使われている「lovely calamities」だ。
「『lovely calamities』はエンドクレジットの展開に合わせて二部構成になっています。前半は8ビートでメキシコのイメージ。メジャーコードでハモリがあってキレイで、だけどどこかグチャグチャしていてがさつで(笑)。後半からはボリビアに国が移って哀愁が混じってきます。アンデス風の民族音楽ですね。ロマンティックなイメージで映画が終わればいいなと思って作りました。この映画自体が男のロマンですから(笑)」
サントラ盤には、劇中で使われた曲が32曲、ほぼストーリーの流れに沿って収録されている。そしてCDのラストを飾るのは、TVシリーズのOP「H.T」の『Badlands Rumble』バージョン。装いを新たにした「H.T」は、ファンには嬉しいはずだ。
『劇場版TRIGUN(トライガン)-Badlands Rumble-』には、今堀の音楽への深い造詣と遊び心がぎっしりと詰まっている。そして、高い技術を持った音楽家たちの魅力溢れる演奏を聴くことができる。僕がアニメーションのサントラを聴いていて幸福になるのは、こういう1枚に出会った瞬間だ。
こんなふうにジャンルが入り混じった自由な音楽を、1枚のCDで一気に聴ける機会って、アニメ以外にはなかなかないと思うのだが、どうだろう?
◆『劇場版TRIGUN -Badlands Rumble-』公式サイト= http://www.trigun-movie.com/
『TRIGUN』のTVシリーズが放映されたのは1998年の4月から9月。実に12年ぶりの新作アニメとして、ファンのもとに還ってくることになる。

▲今堀恒雄
『TRIGUN』で初めてアニメサントラを制作した彼は、のちに『はじめの一歩』『ガングレイヴ』といった作品を担当。さらに菅野よう子の楽曲にギタリストとして参加するなど、アニメの世界でも精力的に活動してきた。
そして今回の、10年以上の時を経ての『TRIGUN』とのコラボ。彼はどのようにして、ヴァッシュ・ザ・スタンピードが疾走する、あの世界に戻ってきたのだろうか?
ロバート・ロドリゲス的なメキシカン・ガンアクションと、星の歴史を巡るSFを融合させた『TRIGUN』。だが、今回の劇場版はSF的な要素は物語の背景に後退させ、単純明快なエンターテイメント作品となっている。
物語のカギを握るのは希代の大強盗ガスバックと、女ガンマンのアメリア。この二人のドラマに、ヴァッシュやウルフウッド、さらにメリル&ミリィといったおなじみの面々が関わり、物語は賑やかに進行していく。
サントラ制作は、まず西村聡監督との打ち合わせから始まり、音響監督の本田保則が書き起こした楽曲メニューと絵コンテをもとに、進められていった。
「本田さんとは何度も一緒に仕事をしているのですが、メニューが独特なんです。今回も『筋金入りの自称・正当強盗(タタキ) コソ泥は道に反する』とか『金髪の女ガンマン、さっそうと男達を釘づけ』とか、変わったお題をいろいろいただきました。あれをもとに曲を作っていくのが楽しいんです(笑)」
「ヴァッシュ、ガスバック、アメリアなど、メインキャラクターそれぞれのテーマとなるメロディをまずは考えていきました。ヴァッシュはTVシリーズのOP『H.T』のフレーズをもとにしたロック、ガスバックは重量感と哀愁のある西部劇風のギター、そしてアメリアは優しいメロディがベースになっています」
クールな女ガンマンのアメリアだが、物語が進むにつれ、彼女の切ない過去が明らかになっていく。そのセンチメンタルな雰囲気が、今堀には強く印象に残ったという。
さらに、荒くれ者のガンマンたちには軽快だったり猥雑だったりするラテン風のサウンドが、巨大な電球形のプラントと呼ばれる動力源が高台に鎮座する街には、SF風のインダストリアルな楽曲がつけられていった。
「でも、SFに似合うサイバーチックな曲はかなり少なく、生楽器中心になりました。アクション映画なのに意外と泣きメロが多く、人間臭いサントラになったと思います。また、架空の惑星が舞台ということで、あらゆる国や地方の音楽がごちゃ混ぜになっているのも特徴です。物語の舞台が限定されるとそこに合う音楽を厳密に考える必要がありますが、今回はシーンの匂いに合っていたら、どこの国の音楽でも気にすることなく突っ込んでいこうと思いました」
その言葉通り、レコーディングにはさまざまな国の民族楽器が集められた。カヴァコ(ブラジルの弦楽器)、チャランゴ(アンデス地方の弦楽器)、ウード(アラブの弦楽器)、マンドリン(アイリッシュやアメリカの伝統音楽などで使われる弦楽器)、サンポーニャ(アンデス地方の笛)、ケーナ(ボリビアの笛)などなど。
「ベース以外の弦楽器は、弾いたことのないものも含めて全部、自分で弾きました。たとえばウードは初めて触ったんですが、敷居が高い楽器で苦労しました。サンポーニャやケーナといった笛は岡田浩安さんの演奏ですが、自分のレコーディングでお願いするのは初めてだったので楽しかったですね。さらには、パーカッションのヤヒロトモヒロさんがスタジオに持ってきた数々の打楽器です。動物の頭蓋骨がそのまま楽器になってるような、専門外の僕らには「なんだ、これは?」というものもあって(笑)」
もちろん今堀本来のギタリストとしての魅力も、このサントラにはたっぷり入っている。ヴァッシュの楽曲の歪んだエレキギター、ガスバックの楽曲の哀愁あるアコースティックギター、ロックンロールしている酒場のテーマなどなど、さまざまなギターサウンドが楽しめる。
「ギター曲はあまり頭で考えないで、作り込まずに、楽器を抱えてせーの、という感じで録りました。あの砂漠の惑星の空気の熱や埃っぽさ、キャラクターの感情を楽曲に含ませることを第一に考えました」
そして、『TRIGUN-Badlands Rumble-』全体の空気感をもっとも象徴しているのがエンドクレジットで使われている「lovely calamities」だ。
「『lovely calamities』はエンドクレジットの展開に合わせて二部構成になっています。前半は8ビートでメキシコのイメージ。メジャーコードでハモリがあってキレイで、だけどどこかグチャグチャしていてがさつで(笑)。後半からはボリビアに国が移って哀愁が混じってきます。アンデス風の民族音楽ですね。ロマンティックなイメージで映画が終わればいいなと思って作りました。この映画自体が男のロマンですから(笑)」
サントラ盤には、劇中で使われた曲が32曲、ほぼストーリーの流れに沿って収録されている。そしてCDのラストを飾るのは、TVシリーズのOP「H.T」の『Badlands Rumble』バージョン。装いを新たにした「H.T」は、ファンには嬉しいはずだ。
『劇場版TRIGUN(トライガン)-Badlands Rumble-』には、今堀の音楽への深い造詣と遊び心がぎっしりと詰まっている。そして、高い技術を持った音楽家たちの魅力溢れる演奏を聴くことができる。僕がアニメーションのサントラを聴いていて幸福になるのは、こういう1枚に出会った瞬間だ。
こんなふうにジャンルが入り混じった自由な音楽を、1枚のCDで一気に聴ける機会って、アニメ以外にはなかなかないと思うのだが、どうだろう?
◆『劇場版TRIGUN -Badlands Rumble-』公式サイト= http://www.trigun-movie.com/




